トップの参謀役を担う人材育成に向け
経営課題解決の方策を学ぶ"石井ゼミ"がスタート
日本医療経営実践協会関東支部では、「経営課題解決策スキルを身につける! 医療経営士関東支部 研究会"石井ゼミ"」をスタートしました。講師は多摩大学医療・介護ソリューション研究所フェローの石井富美氏。同ゼ ミでは、経営企画人材に必要な知識やスキルを5回にわたって学び、トップの参謀役として活躍する医療経営士の育成をめざしてい ます。5月31日に開催された第1回の様子をレポートします。
第1回のテーマは「医療機関における経営企画部門の役割~経営と運営の違いを理解する~」。石井氏は最初に、運営と経営の違いについて解説。前者は「現場の『今』」を考えるもの、後者は「将来のための『今』」という視点が必要であるとし、「経営とは、理念の実行のためにビジョンに基づいて組織を発展させていくこと。理念をいかに具現化し、実行していくかが重要となる」と述べました。
さらに、理念の実行に向けた組織づくりにも言及。病院は、組織図上の流れと現場の仕事の流れが異なるヒエラルキーが交差したマトリックス構造であると述べ、「マトリックス組織は指示命令系統が確立していないので管理が難しい」と指摘しました。これを踏まえてマネジメントシステムを強化するための方策として、①組織的な弱さを克服する、②経営者の責任を明確にする、③目標管理、是正処置など継続的改善を行う、④内部監査機能を働かせる――を挙げました。
続いて、「あなたの病院の経営者は誰でしょう」と題してグループワークを実施。参加者は自分の所属する病院や企業の 組織図を書き、経営判断をしている人や指示命令系統について説明し合いました。その後のディスカッションでは、オーナーシップの強い組織での意思決定の脆弱性や、合議型の組織における意思決定の遅さなど各組織での課題が出され、それぞれの解決方法について意見交換が行われました。
最後に経営企画部門の役割として、トップマネジメントの経営判断に必要な情報の提供を挙げたうえで、そのための場としての会議・委員会の重要性にも触れました。「病院の会議は得てして『できない理由』を探す場になってしまう。それを『どうしたらできるか』に転換する、ファシリテーション役も経営企画部門の仕事。参加者の気づきを誘導できるような役割を担ってほしい」と参加者にエールを送りました。
2回目以降の途中参加も可能となっています。協会ホームページからテーマなどを確認いただき、興味のある方はぜひご参加ください。