現場が動けるBCPセミナー
知る、事例を学ぶ、やってみるの3部構成で実施
日本医療経営実践協会東海支部では、3月8日、現場が動けるBCPセミナーを開催しました。中部・東海エリアはもとより、遠く九州地区からの来場もあり、約50名が参加したセミナーの様子をお伝えします。
BCP(Business continuity planning)とは「事業継続計画」のことで、災害時など事業の継続が危ぶまれる事態を想定し、その対応について具体的な計画を立てておくことを指します。医療機関においては、特にその計画策定が遅れていることが以前から指摘されていました。東日本大震災を教訓として、各医療機関でも策定が進んできていますが、まだまだ十分とはいない状況があります。また計画自体はあるものの、現場にはその内容も浸透しておらず、作っただけで終わってしまっているケースも少なくありません。
今回のセミナーのテーマは「現場が動けるBCP」。ただBCPを策定するだけでなく、本当に使える計画を作るためにはどうすればよいのかを学ぶものとして、より実践的な内容となるよう、「知る(講義)」「事例を学ぶ(事例紹介)」「やってみる(ワークショップ)の」3部構成で開催しました。
第1部は「ミッションベースのBCPとは」と題して、株式会社富士通総研BCP事業部長代理の古本勉氏より講演をいただきました。作ること自体が目的のBCP策定になっていないか、定めたミッション(ゴールイメージ)を達成するためのBCPになっているのか、事務職員等プロジェクトメンバーだけが盛り上がり、実際に動く現場とすり合わせた内容になっているか等の投げかけに、多くの参加者が真剣に考え込む様子が見られました。「使えるBCP策定とはどのようなものなのか」を改めて捉えなおす、大きな気づきのある会となりました。
第2部は事例紹介。昨年九州で開催された第2回全国医療経営士実践研究大会で最優秀賞を受賞した、岩砂病院・岩砂マタニティの稲葉明日香氏より、BCP策定とシミュレーション訓練の実践報告がありました。訓練の様子は動画で報告されましたが、予定調和ではなく参加者が想定していないシナリオが発生する訓練で、混乱しながらも必死に取り組む参加者の姿からは緊張感が伝わってきました。
第3部は、藤田保健衛生大学医療経営学米本倉基准教授のファシリテートでワークショップを開催。参加者を5、6人ずつのグループに分け、ミッションシートを実際に作成しました。終了後、参加者からは「講義と事例紹介、そして実践の流れによって、すごく理解が深まった」「まだまだ当院のBCPが使えるものになっていないことがわかった」「地域のために、患者のために、使命感を持ってBCPを策定していく」などの感想が寄せられました。